私たちはお客様の屈折異常を測定する際、完全矯正値を求めております。
その中の一つとして、以下の視標を活用することがあります。
雲霧法を利用して測る「放射線視標」と等価球面値を利用して測る「点群視標」があります。
どちらもよく使われる視標のため、一度はご覧になられた方が多いと思われます。
どちらの方法でも乱視軸と乱視度数は測定可能です。
大切な点は『雲霧状態』と『等価球面値』を設定することです。
雲霧状態とは、前焦線が網膜前方、後焦線が網膜上にある近視性単性乱視か、前焦線と後焦線が共に網膜前方にある近視性複性乱視の状態。
等価球面値とは、前焦線が網膜前方、後焦線が網膜後方にある混合乱視で、最小錯乱円が網膜上にある状態。
この状態を作れていないと、被検者であるお客様は違いが分かりにくく迷い始めます。
放射線視標では他の線より一番濃く見える線を判別してもらいます。
例:12-6 3-9 2−8 4−10など。
濃く見えた線の小さい数字に×30°の方向に乱視軸が存在します。
乱視軸が判別できたら、全ての線が均一になる乱視度数を探します。
点群視標ではクロスシリンダーを使います。
S+0.50D C-1.00Dの混合乱視レンズで、点群視標の鮮明度を比較してもらいます。
柄の付いている目盛り線には度数が存在せず、反転させた際、クッキリ見えた方向に乱視軸が存在するため赤点(-0.50D)を追います。
反転して近い鮮明度になるまで繰り返し、乱視軸を探します。
その後、赤点(-0.50D)か黒点(+0.50D)のどちらを加えた方が網膜上に近付くのか、同じように点々の鮮明度を比較し乱視度数を決定します。
多くのメガネ販売店で利用されているシステム検眼機は、度数調整も考慮され簡単です。
しかし、残念ながら検者自身が屈折状況を理解せず操作できてしまうのもシステム検眼機なのです。
手持ちのクロスシリンダーは、反転方法や焦線の移動を理解していないと扱えません。
仮枠で行なうため、システム検眼機で覗き込む姿勢が困難なお客様にも向いています。
乱視検査はお客様の反応に左右されがちです。
理屈を理解し、お客様が如何に判別しやすい状態で検査を進められるかは、私たち眼鏡作製技能士のスキル次第と言えます。
Comments